涼宮ハルヒ(と愉快な仲間たち)の売上

 「涼宮ハルヒ」シリーズの累計部数が250万部を突破したそうで。アニメ放送開始前(今年3月)の時点で130万部だったそうなので、アニメによる効果はおよそ100万部*1ということになります。単純計算で10万人以上の人が新たにこのシリーズを読みはじめた*2ことになり、アニメの影響の大きさを物語っています。

 Yahooランキングの文庫部門でも、その影響は顕著です。

発表日 憂鬱 退屈 溜息 消失 暴走 動揺 陰謀 憤慨 この週のライトノベル系作品のトップ(順位)
5/16 - - - - - - - 4 箱はマのつく水の底!(2)
5/23 11 - - - - - - - リリアとトレイズ4(2)
5/30 18 20 16 - - - - 12 リリアとトレイズ4(11)
6/6 11 - 16 17 - - - 13 涼宮ハルヒの憂鬱(11)
6/13 - - 20 17 - - - 19 ムシウタ07(15)


 基本的に初動が命のライトノベル系レーベルで、発売からこれだけ長い時間が経過してなお他作品の初動と肩を並べる例というのはなかなか見られるものではありません。しかも上記の表を見る限り、今後さらに売上を伸ばして行くことが予想され、アニメ終了までにどこまで行くのか、となると見当がつきません。

 『灼眼のシャナ』もアニメによって発行部数を倍に伸ばしたそうです*3が、ハルヒにおけるアニメ効果はそれをさらに上回るものとなりそうです。


 で、ついでに上でも参考にさせていただいたこちらのデータから、そのデータがいつのものなのかということと、シリーズ1冊あたりに換算した部数を表にまとめてみました。

作品名 累計推定部数*4 データ公開時期 1冊あたり部数(冊数)*5
スレイヤーズ 1200 2006/05 30(40)
銀河英雄伝説 1000 2003/04*6 71(14**7
魔術士オーフェン 700 2000/09 28(25)
フルメタル・パニック! 500 2005/07 33(15)
マリア様がみてる 400 2006/05 18(22)
キノの旅 400 2005/10 50(8)
灼眼のシャナ 300 2006/03 23(13)
戯言シリーズ 275 2006/06 30(9*)
ブギーポップ 260 2004/06 21(12)
涼宮ハルヒ 250 2006/06 31(8)
星界シリーズ 200 2006/06 25(8)
魔法戦士リウイ 200 2001/01 28(7)
まぶらほ 150 2004/09 15(10)
スクラップド・プリンセス 100 2003 8.3(12)
いぬかみっ! 80 2006/03 10(8)
タクティカル・ジャッジメント 50 2005/11 5.5(9)
イリヤの空、UFOの夏 約50 2005/03 >12(4*)
神様家族 40 2006/03 5.7(7)
狂乱家族日記 25 2006/02 8.3(3)
マルドゥック・スクランブル 16 2005/02 5.3(3*)


 銀英伝を除けばキノがぶっちぎりですね。データ元は電撃の公式、時期も比較的はっきりしていることから、読者数から見る現時点でのライトノベル代表作といって間違いないところでしょう。

 こうしてみると色々と面白いことがわかりますね。ひと昔前の富士見がどれだけすごかったかとか、リウイのバカ売れっぷりとか、すてプリって意外と読んでる人少ないのね、とか(あ、全部富士見の話題だ)。マリみても一時あれだけ話題になった割に最終的にはほどほどのところに落ち着いたようです。

 購買層が若干異なるせいか、今回参照させていただいたデータの中には含まれていませんが、「まるマ」シリーズや『彩雲国物語』などもかなり売れているようなので、併せて調べてみると面白いかもしれないと思いました。

*1:アニメ以前の読者を約20万人とし、アニメ放映開始後最新刊「憤慨」が発売されたことを差し引いて考えました。

*2:もちろん全員が既刊すべてを買っているわけではないので、実際の「新たに読みはじめた」人数はそれ以上になります。

*3:月刊『創』2006年6月号特集「ライトノベルはアニメ界の救世主か」より。

*4:単位は万部。1冊あたり部数も同様。

*5:数字の後に*がついているのはデータ公開時にすでに完結していた作品です。

*6:キッズステーションでの放映開始時期

*7:色々なバージョンがあるのでどのようにカウントすべきか迷ったのですが、今回は一番最初の徳間ノベルス版(正伝10巻+外伝4巻)を基準にしました。