#ライトノベルの昨今
- 長文タイトル作品の増加
これはまあ、結構前から感じてることではありますが、ではなにが発端になったかというとやはり『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』ではないかなあと。同作のヒットに追随+刊行点数増加でわかりやすく内容を示す必要性が高まったのが、長文題名が頻出するようになった理由かなと考えています。付け加えて言うと、『俺妹』のころは語感も新しく、それをもじった言い回しがネットで流行ったりもしてたのが、最近ではネットで流行ってる言い回しをタイトルに流用するという正反対のパターンが増えているように感じます。
- ネット小説、ボカロ小説の流行
これもわりと自明ですね。作品内容については詳しくないので触れませんが、ひとつ大きなポイントとして、ライトノベルにおける新人作家発掘ルートに、新たに「ネットから」が加わった、というのがあると思います。なかなか本が売れないと言われる中で、すでにネットである程度の支持を受けている、というのは武器のひとつになるでしょうし。これまでライトノベルでは、主に新人賞を通じて作家が発掘されていましたが、もしかするとこれからそういう構図も変わっていくのかもしれません。
よく「ラノベの主人公にありがちなこと」みたいな話がまとめサイトに上がってたりしますが、彼ら(まとめられた書き込みの主たち)は必ずしもライトノベルに詳しいわけではなく、あくまで自分たちの中にある「ラノベってこういう感じだよね」という印象に基づいて話をしているというのが自分の感想です。その程度には、「ラノベ像」とでもいうべきものが、その真偽はどうあれ(まとめサイトにコミットするような)人々の間で共有され、結果として「ラノベ」が便利な言葉=バズワードとして使われている、という印象を感じています。「ライトノベル」という正式名称ではなく、もっぱら「ラノベ」という短縮形が使われているのがその象徴かなと。
余談ながら、そもそもライトノベルという言葉がなかったころからライトノベル(と呼ばれるもの)を読んでいた立場としては、ずいぶん遠いところまで来たなあとなかなかに感慨深いものがあります。
- アニメ化の影響力の増大
アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』がヒットし、その後を追うようにライトノベル原作のアニメが増えたころには、ライトノベルに対するアニメの影響力がずいぶん増した*1と感じましたが、最近はまとめサイトの興隆や、ライトノベル読者コミュニティの拡散等々によって、相対的にアニメ化の影響力がますます高まっていると感じています。具体的な例を挙げると、数年前はライトノベル読者の間で評判→アニメ化、という流れ*2がしばしば見られたのが、近年はアニメ化→読者の側がヒットを追認する、という流れのほうがより目立ってきているように思います。
ちなみに上記の「アニメ」は主にテレビ放映されるアニメを想定しています。日々「テレビは死んだ」みたいなことが言われている昨今ですが、自分としては人の趣味嗜好がますます細分化される中で、ライトノベルのような狭い趣味領域においては、最大公約数的な話題を提供するテレビの影響力はかえって大きくなっているようにも感じています。
とりあえずこんなところで。