ライトノベルを売るには(一例)

 それまでさほどライトノベルが売れなかった書店で、一時的にせよそれまで売れなかった、それも既刊が売れたという例を、私の経験から紹介します。




 プロフにも書いてるとおり、私は「新月お茶の会」という文芸サークルに所属しているのですが、1年ほど前、とある書店から「ライトノベルの売上を伸ばしたいので協力して欲しい」という依頼を受けました。当時、その店のライトノベル置き場は棚ひとつ、冊数としては250冊前後で、その中から毎月20冊程度(ほとんどがその月の新刊)が売れていく、という状況でした。*1

 新刊の数を増やせない*2以上、既刊を売るしかありません。そのために、私は以下のような方法をとりました。

 そのころサークルでは「ライトノベルの憂鬱」という同人誌を発行しており、その中で「本当はこのライトノベルがすごい! 2005」という企画*3を行っていました。そこで、それを集客に利用してみてはどうかと提案しました。内容としては、まずその店に同人誌を置かせてもらい、その横にランキング1位から10位までの作品を順位の表示つきで並べる、というものです。配置も表紙を表に向け、POPもつけてできるだけ目立つように置いてもらいました。

 すると、1位の「お・り・が・み」が10冊以上売れたのをはじめ、ランキングの作品が少しずつ売れていったのです。率直に言ってマイナーな作品が多かったので、そのままだと間違いなく棚の肥やしになっていたでしょう。

 今回の場合、ほぼ新刊のみとはいえ、コンスタントに棚を見て買っていく人が何人かはいたわけです。ですが既刊や、「お・り・が・み」のようなマイナー作品はなかなか手に取られない傾向にありました。しかしそういった作品でも、ランキングという形で強力に人目を引けば、買ってくれる人がいるということがこれで示されたのではないかと思います。

*1:もちろん電撃組の加入条件などは満たしておらず、電撃文庫は発売日に新刊が1冊ずつ入荷しては一瞬で売り切れていくという状況でした。

*2:理由についてはhttp://d.hatena.ne.jp/r-motomura/20060423/p2参照

*3:サークル独特の観点からその年のライトノベルベスト10を決める企画。実際にどんなラインナップになったかは右記エントリ最下部からどうぞ。http://d.hatena.ne.jp/USA3/20060106#p1