返信、またはライトノベルの要件についてとか

 まず、誤解が生まれるのを承知でおおざっぱにまとめると、先のエントリで私が書いたのは「今現在ライトノベル読者が読んでいるのがライトノベルであり、そうでなければライトノベルではない」ということであり、ゆえにそうでないと思われる『図書館戦争』はライトノベルではない、ということです。である以上、もし先のエントリに直接的に反論するのであれば、『図書館戦争』が、私の主張する「今現在のライトノベル読者」に支持されている、という根拠を示すか、読者支持の有無でライトノベルか否かを判断する方法が不適切だということを示す必要があるかと思います。


 さて、私のほうも何度か秋山さんのエントリを読み返したのですが、どうもいくつか誤解されているところがあるようです。例えば以下の一節。

 ところでUSA3さんは『図書館戦争』の読者層に関して「読者層の中心はあくまで『(基本的にライトノベルを読まない)大人』と見るべきだと思います」と述べているのですが、ここが今ひとつ分かりません。その直前に「小説の内容自体はたしかに『ライトノベル的』ではあります」と述べているので、読者は『図書館戦争』の「ライトノベル的」な面が気に入ったと考えているようなのですが、そうしたくないのか、まるで正反対の結論が出されているのです。順当に考えていくと、『図書館戦争』は高年齢のライトノベル読みおよび潜在的ライトノベル読みの支持を受けたという結論が出るべき箇所にも関わらず。

 たしかに私は『図書館戦争』の「小説の内容」を指して「ライトノベル的」と書きましたが、そこはあまり重要ではありません。重要なのは、私は先のエントリを通して、「小説の内容がライトノベル的=その本がライトノベルである」とは一度も書いていない、ということです。ですから小説自体は「ライトノベル的」であっても、本全体としては「ライトノベル」ではない、という主張は十分成り立ちます。

 そもそも私は、(繰り返しになりますが)ライトノベル読者の中心を「中高生」と位置づけ、彼らの支持の有無によってライトノベルか否かを判断しています。ゆえに秋山さんのいう「高年齢のライトノベル読み」「潜在的ライトノベル読み」なるものの支持は、私の中におけるライトノベル判断に、何ら影響を及ぼすものではないのです。


 上記エントリを読む限り、秋山さんは「ライトノベル的ストーリィやキャラクタ」を有する作品を「ライトノベル」としてカテゴライズしておられるようです。仮にそれを前提とするならば、私も『図書館戦争』をライトノベルとすることにやぶさかではありません。しかしながら、繰り返しますが私は「ライトノベル*1ストーリィやキャラクタ」といった要素については、ライトノベルか否かを判断する上では一切考慮に入れていません。

 どうも秋山さんは、上記エントリにおいて、あくまで「『図書館戦争』は(ライトノベル的ストーリィやキャラクタを有する)ライトノベルだ」という前提に立って話を進めているように思えます。私は「『図書館戦争』はライトノベルなのか?」と言うところからスタートしているわけで、これでは話が噛み合わないのも無理はありません。私が問題としているのは、「ライトノベルの中心読者は『図書館戦争』を読んでいるのか?」ということであり、逆に言い換えるなら、「『図書館戦争』の読者の多くは、電撃や富士見といった、ライトノベルのコアな部分をも読んでいるのか?」ということなのです。


 ところで、

また、ハードカバーで出すことは確かに「すでに市場がある程度確立された世界」に「進出していくことは、単に既存の作品や市場におもねっているだけ」かもしれませんが、だとしたらどうして『図書館戦争』シリーズ以外のハードカバーは売れていないのでしょうか?

 この部分の意図するものがちょっとよくわかりません。考えるに私の「ハードカバーで出たことで『枠を広げた』としたくない」という意見に対する「でも売れてるじゃん」という反論なのではないかと思うのですが、これについては私の中では「売れた=枠を広げた」ではない、と答えておきます(詳しくは前エントリ参照)。また、「『図書館戦争』シリーズ以外のハードカバーは売れていない」というのもかなり乱暴な表現*2で、例えば書籍化されたケータイ小説などは相当に売れています(もちろんピンキリではありますが)。


 私のほうも言葉足らず、というかこの機会にもうちょっといろいろ書いておいたほうが良いような気がしてきたのですが、それはまたのちほどということで、とりあえず今日のところはここまで。

*1:本来ならばこれも相当に誤解を招きかねない表現なのですが、その摺り合わせを行うだけでも相当に言葉を費やす必要があるので、これについては何か問題が起こりそうなときのみ書くことにします。

*2:何か裏に意図があるのかもしれませんが、言葉通りに取る限りではそう評せざるを得ません。