ライトノベルのイラストと作家の関係

 ライトノベルのメイン読者層である中高生をターゲットに「売ること」を考えたとき、この「作家と絵師にコンビを組ませる」というのは非常に有効な手段でして。というのも、彼ら中高生には「作家の名前を憶えない」という現象がしばしば見られるようなのです。そのため大ヒット作を出した作家の次回作がヒットするとは限らず、だからこそシリーズ化が標準という現在の体制ができたのだという側面もあるでしょう。

 一方イラストによる識別力は強く、聞いた話では「作家の名前は知らないがイラストレーターの名前ならわかる」ということさえあったそうです。その意味では「ライトノベルにおいては、著者よりもイラストレーターのほうが重要である」と言っても過言ではないと思います。

 ここに作家と絵師にコンビを組ませる利点が生じます。つまり、ヒット作と同じイラストレーターがイラストを担当した作品が、内容まで前作と似ていたなら、その作品も同じくヒットする可能性が高い、ということです。逆に、デビュー作がいまいち振るわなかった作家に、イラストを変えて巻き返しを図らせる、というようなことも戦略として充分考えられます。作品性という観点からはどうあれ、売ることを考えたときには、ヒット作のコンビを継続させるというやり方は極めて有効である、と言えます。