そもそもライトノベルの「質」って何よ、という話
先日の話題のそもそもの発端となったライトノベルの「質」の問題について普段思ってることをちょろりと。
ライトノベルの「質」について考えるとき、私がいつも思うのが「『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』と『まぶらほ』はどちらが質が高いのか?」というような問いでして。比較する対象は別に何でもいいんですが、たとえばこんな風に問うたとき、ライトノベルの質を云々する人は、恐らく「前者」と答えるのではないかと思います。
問題は「それは本当に『ライトノベルとしての』質なのか?」ということでして。ライトノベルとされている作品の中には、ジャンルで言えばSFやファンタジー、ミステリや恋愛など、様々な種類のものが含まれます。小説としてのライトノベルの質を語るためには、本来ならそれらを包括した上での評価基準がないといけないわけですが、そんなものを提示するのはまず不可能です。
それこそがライトノベルの定義を困難なものにし、「ライトノベル」は小説の「ジャンル」を表わす言葉ではない、としばしば言わしめる要因のひとつなわけですが、要するに文章がどうとかストーリーがこうとか、つまりは本文の内容について語る限りにおいて、ライトノベルの質を問う人は、「ライトノベルの」と言っておきながら、その実既存のジャンル小説的観点から問いを発していることになるのです。
もし仮に、「ライトノベル固有の評価基準」というものを作る*1とすれば、それは少なくとも、イラストにも小さからぬ比重を置いたものであるべきだ、というのが私の持論です。ライトノベルの質について述べる人が、イラストまで含めた視点から述べているのならまだ良い*2のですが、そのような記述を少なくとも私はこれまでに見たことはありません。
もちろん、本文の内容以外を評価の対象とするとなれば、それはもはや「小説」としての評価基準とは言えません。むしろ私としては、ライトノベルというものは単なる「小説」ではなく、「小説としての性質を持った別メディア」であると捉えたほうが、それを取り巻く状況についても理解しやすいのではないかと思っています。