次第に壊れていくお父さんがおもしろ怖い

斎藤家の核弾頭 (新潮文庫)

斎藤家の核弾頭 (新潮文庫)

 人間がコンピュータ管理されるようになった近未来、長年住んだ家を強制的に退去させられたことをきっかけに核武装までしてしまう一家の物語。……こうして自分で書いてみると凄い話ですな。しかしまあ、そんなあとから思えば「なんじゃこりゃあ」的な展開をきっちり読ませるのはやっぱり凄い、と思う。

 コンピュータでランク分けされた階級制だとか毒ガスで人がばたばた死んだりだとか結構えげつないことが書かれてるわけですが、それを変に悲劇ぶったりせずさらりと書いているあたりがむしろ怖い。下手するとユーモラスですらあったりするあたりが特に。