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 少々言葉足らずでした。私が「大事なのはその認識をもった上で、10代読者の感性も忘れないようにすること」と書いたのは、まさにその「『10代の頃の視点で見たときの作品の良さ』を理解すること」です。私自身「戯言シリーズ」を読んで「そんなことで悩む時期はもう何年も前に通過したっ!」と思いつつも「でもこれって多分いま思春期まっただなかな人たちにはクリティカルなんだよなー」とか感じてたりしますし。

 読み方、感じ方は違って当然だと思います。ただやはり「ライトノベル」というくくりで考えるなら、10代読者が好むような作品を「面白がれる」(「面白いと思う」、ではなく)資質が求められるのではないでしょうか。自分だけかもしれませんが、ライトノベルを一般文芸との対比のみで考えて、10代読者向けの単純なエンターテインメント作品などを軽視される方が少なからずいるように思いますので(わかっている人は、そんなカテゴライズなど関係なく自由に読んでいるのだと思いますが)。

 たとえばいちせさんご自身こちらで「砂糖菓子〜」を「ライトノベルの文庫から出すのは間違ってると思う」「まったくライトノベルらしくない」と書かれています。極論ではありますが、ライトノベルを読む上で、そういう作品しか楽しめなくなっているのであれば、あるいはそういう作品が出ることのみを期待して読んでいるのであれば、もうその人はライトノベルを読むのをやめるべきなんじゃないだろうか、と思います*1ライトノベルらしくない作品とライトノベルらしい作品、両方あってのライトノベル、だと思いますので。


「『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』はすごい、と思」うのは10代じゃないのか。

このライトノベルがすごい! 2006」では「砂糖菓子〜」に投票している人の多くは協力者、すなわち作家や書評家、ネットで情報系サイトを運営している方々です。前2者に10代が少ない(恐らくいない)のは言わずもがなですし、最後の方々の年齢についてはこちらにまとめられてます。加えて「砂糖菓子〜」の紹介ページで引用されているコメントはすべて20代以上の方のものです。

 もっとも、単に10代読者にはこれまで読むきっかけがなかったというだけの話で、実際に読んだなら「すごい」と思うのかもしれません。「このラノ2006」で3位に入ったということで、そのきっかけもできたわけですし。ただ現時点で確実に言えるのは、20代以上の読者に「すごい」と思っている人が多い、ということです。

*1:いちせさんご自身がそうだと思っているわけではないです(笑)。念のため。