第12回電撃小説大賞受賞作一気読み
なんか今年は豊作だったらしいんで、せっかくでってんで一気に読んでみました。*1さすがにひと晩で、ってわけにはいかなかったですが、なんとか読み切ったんで感想をば。上から読んだ順です。
- スポ根弓道少女ものだそうです
- 作者: 杉井光,かわぎしけいたろう
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2006/02
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時代的なものだとか鳴箭の「音」とか、色々魅力的な設定はあるのにそれを生かし切れてない感じ。火目の謎についてもどさくさに紛れてうやむやになってしまった感じだし。オーソドックスなストーリーラインを丁寧になぞっているのはいいんだけども、もうひとつ何かパンチの効いたものが欲しい。良くも悪くも普通、といった感じ。
- クライマックスでデジャヴュを感じたんで何かと思ったら『ダブルブリッド』&『キーリ』でした
- 作者: 支倉凍砂,文倉十
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- 発売日: 2006/02
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現実との整合性とかはともかくとして、商売、それも通貨制が完全には確立していない時代の商売というものを話の核に持ってきているのがまず面白い。実際に取引をする前、水面下での行動が勝負を決するという商売の構図は、一般的な戦闘とも舌戦とも違う戦略戦的な面があって非常に新鮮だった。なんやかやとへたれっぽいところもあったロレンスが、いざというときに鋭さをみせるとこなんかも好感が持てる。ホロのキャラについては言うまでもない。
今回の4作の中で一番面白かった。満足。
- 電撃hpのインタビュー見る限り作者は女性のようです
- 作者: 来楽零,柳原澪
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2006/02
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なんか色々「火目の巫女」とかぶってて既視感が。特殊な力を持つ何人かが、やがてその力をどう扱うかで考えが分かれてそれぞれの道へ、という構成が一緒なんですな。ただこっちのほうがあれこれ引っかかるところが多くて、七倉は考えなさすぎだろうとか、身体のことはもうちょい早よツッコミなさいよとか、まあ色々。陳腐な表現ですが、決定的な部分で人間が書けてない、みたいな感じでしょうか。
やっぱり良くも悪くも普通。あとタイトルはもうちょっと何とかしたほうがいいと思った。
- 2章が浮いてます
- 作者: 小河正岳,戸部淑
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2006/02/10
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ストーリー的にはあまり大したことなくて、どっちかというと雰囲気や会話で読ませるタイプの話。それで大賞を獲っただけあってキャラは立ってる。が……ちょっと絡ませ方が足りないような(特にセルルマーニ)。あんまり細かいことは気にせず、まったーりと読んでいくのが正解かも。
おもしろいっちゃあ面白いんだけど、大賞にするにはちょっと小粒な感じか。こういうタイプの作品でも大賞が獲れた、ということを評価するべきか、それとも。
以下総評。
電撃だけあって、総合的な完成度はどれも他のレーベルの新人賞受賞作より高いです。で、話は必然的にどれだけ尖ってるか、みたいなことになるわけですが、そうなるとやっぱり評価が高くなるのは「狼と香辛料」「お留守バンシー」の2作。あとのふたつはどうしても「どこかで見たような話」の域を出ていないように思えるんですな。
で、その2作(「火目の巫女」「哀しみキメラ」)なんですが、ほかふたつと比べて世界の開示の仕方がどうにも中途半端に思えます。多分主人公ズが世界の中で特殊な存在で、彼ら彼女らと世界との関わりがあまりしっかりとは書かれてない、というのが原因のひとつかと思うんですが。これはあれか、セカイ系ブームの弊害とかいう奴か(多分全然違う)。
なんか電撃hpのインタビュー読むとどれも続編が出るみたいなんですが、正直「お留守バンシー」以外はやめたほうがいいんでないかと。「哀しみ〜」は単なるバトルものになりそうだし、「火目〜」は鎖を断ち切る、とかいう展開だとますます普通の話になるし。「狼〜」は次以降今回のバトル以上の面白さが出せるかというと正直疑問なので(それ以前にまんま「キーリ」をなぞりそうな気が)。
なんにせよ、次はとりあえず読もうと思います。つーかその前に4月にも受賞作が出るみたいですが。うにょーん。
やっぱ続巻出すこと前提なんだよなきっと
マキゾエホリック Case1:転校生という名の記号 (スニーカー文庫)
- 作者: 東亮太,Nino
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/01/31
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記号だらけのキャラがあれやこれやする話……らしいんですが。あれやらこれやら詰め込みすぎて正直よくわかりません。これだけいろいろあるんなら何でもありだよね、ってところから無理矢理ストーリーを引きずり出した感じ。クライマックスでなんか煙に巻かれた感じなんですが、どうなんでしょ。
結局面白いのかどうかすらよくわかりませんでした。なんじゃいそれ。
昨日の続き
昨日の記事に関してこんなコメントが。
>ねこねこソフト開発終了に思う まったく見当違いですね。 残念ながら、もっと様々な思惑があっての開発終了です。 企業として正しい道を選んだから終了、言い換えればこれは始まり。 余り書くと特定されそうなので失礼。 ちなみに関係者ではありませんよ。
だそうで。
目に見える情報だけから判断するしかない側としては、見当違いと言われてもそうなのか、としか言えないんですが、具体的にはどうあれ「大人の事情」でねこねこが解散するのは事実なわけで、それを中の人もユーザーも残念に思っている、というのが最終的には唯一の真実なのだと思います。
開発終了が発表された今、理由を具体的に詮索することには個人的にあまり意味を感じません。私としては、スタッフの方々には新天地で頑張って欲しいという、先の記事の結論を繰り返すだけです。