なにやら話題になってるようなので

 根っこの話だと単に最近のイラストはどうよ、と言ってるだけにしか読めないのだけど、後2箇所では業界がどうのの話になってたんでなんか書いてみます。

 ぶっちゃけ最近のイラストはどうよ、ってだけならじゃあ読むのやめれば、と返すだけの話であって。そう書いた本人がライトノベルを読んでないっていうなら単なる余計なお世話だし、それこそチラシの裏にでも書いとけというレベルの話。個人的な話をすれば今のライトノベルのイラストはおおむね嫌いじゃないしイラストが好みな絵描きも何人かいるので特に不満はないです。批判されている内容が一面的な見方に過ぎず必ずしも没個性的とは言い切れないよ、というのはすでにあちこちで書かれてるようなので省略(もちろんそうした反論が妥当かどうか判断するのも人それぞれですが)。

 で、それから発展してこのままだと業界の将来が、みたいな話になってるわけですが、そもそも私は個人的な感想をもとに業界の心配をする、ということに強い違和感を覚えます。個人的な感想というのはそれ以上のものでもそれ以下のものでもないわけで、業界を心配することとは本来的にまったく無関係です。その両者をつなぐには「個人的な意見」を「普遍的な評価」へと昇華させる論理が必要になりますが、こと話題がライトノベルになると、話はより面倒になります。

 たとえば仮に「イラストが没個性的」だという評価が正しいとしても、「それのどこが悪いの?」という返しは普通に通用する(冒頭に上げた安眠練炭氏の反応がこれに似ています)わけです。「没個性的」というとぱっと見悪いことのように思えますが、少なくともライトノベルではそうとは言い切れない部分がある。ちょっと詳しい人なら誰でも知ってるように、ライトノベルなんて定義も評価も定まってないわけですから。そのことに自覚的であれば、「没個性的」が普遍的な批判の表現として適当かどうかというのも疑問の対象になるはずです。

 このように、今回の話題については、イラストに対する評価が正しいかどうかという問題と、それとは別に「ライトノベル」というものに対する捉え方の違いから生まれる意見や反論が存在します。そんなときにいちいち「あなたのライトノベルの捉え方は〜」とやるのも面倒だし話が先に進まないので、私は以前から「自分なりのライトノベル観をもち、それを表明すること」を勧めてきましたが、そうしたレベルで議論を行うのはネット上では困難なのかもしれません。

 ちなみに読者が業界の心配(批判、ではなく)をすることに対する私の考え方は1年前に書いてるのでそちらをどうぞ。