美少女ゲームの影響力

ただ、これだと一時期の美少女ゲームが持ってた影響力の強さは説明できません。うーむ。

 なるほど。私としては美少女ゲームライトノベルの購買層の差を説明するだけで十分だと思っていたのですが、そもそも美少女ゲームの市場規模では、一時持っていた影響力の強さに説明がつかないと。このあたりで、なにをもって「影響力がある」とするのか、という点に一歩話を戻す必要があるようです。

 私の中での「影響力の指標」というのは、ネット上での言及だったり、同人誌即売会でのサークル数だったりするのですが、この範囲ですと現在の市場規模でもさほど無理なく説明が可能です。『Fate』が十数万本売れたことを考えて美少女ゲームの購買者数をざっと20万程度とすると、そのうち1%の人間(2000人)が美少女ゲーム系でサークル出店すれば十分お釣りが来ます。*1落選サークル数等を考慮すればまた少し数字は変化しますが、そんなに無理のない話なのではないかと。平和さんの言われる「一時期」の数字ではないものの、大本の『Fate』の売上は美少女ゲーム史の中でもトップクラスであることを考えると、市場規模からは考えられないほど大きな影響力があったとまでは言えないと思います。*2

 ネットの話はもっと単純で、ぶっちゃけた話いくつかの大手サイトで言及されたり、取り上げられたりして情報の網ができればそれだけで大きな影響力があると感じられたりするものです。我々が日常的にチェックできるサイトの数なんてどんなにがんばっても数百程度であり、その中である程度共通言語になることは、市場規模を考えるとさほど難しいことではないでしょう。

 もちろんこれは私の考える影響力の話であって、平和さんの方ではほかの影響力を想定されているのかもしれません。が、少なくとも私の方の認識では、市場規模と比較して、美少女ゲームの影響力は特筆するほど大きいとはいえない、ということでひとつ。


 正直なところ、ここでも言われているように、この辺の話題はどこまでいっても仮説でしかないというのがつらいところではあります。ただその中でも、自分が知っていること/知らないことを客観的に把握し、慎重に考えを進めていけば、それなりに真実に近いところにたどり着けるはずだという思いもあります。データが重要なのはもちろんですが、読者のリアルな感覚というのも、それはそれで大きな意味があると思いますし。

 ただ個人的には、こういうあやふやな話をネット上でやることにぼちぼち限界を感じたりしてます。私としてはそろそろ、実際に面と向かって議論を戦わせるか、ある程度まとまった仮説を、ブログ以外のよりきちんとした形(本とか)でなんとか提示していきたいと思っているのですが、なかなかそう簡単にはいかないなあというのが現在のところです。

*1:手元にあったコミックマーケット70のカタログを見てサークル数をざっと数えてみると、美少女ゲーム系サークルの数はだいたい1200程度でした。

*2:ここにオタクと同人の親和性とかの話題を持ってくれば話はもっと簡単になります。