表紙のデザインも大好きです

 私宇佐見が目下最強の学園ライトノベルと信じて疑わない「護くんに女神の祝福を!」の番外編短編集第2弾。「電撃hp」に掲載された3編と書き下ろし2編の計5編。

  • 雪降る日のハート・オン・ザ・ラン

 あとがきにもありますがいかにも「護くん」らしいノリと溢れた一編。少々まとまりに欠けている感はありますが、そこは勢いで押し切る方向で。

  • 心のなかに日傘をさしながら

 汐音の恋愛話。こう言うのを読むにつけつくづく「護くん」はサブキャラに至るまでことごとくキャラがうまく作られてるなあ、と思います。いつか生徒会マイナーメンバー中心の話とかやってくれないかなあ。

  • BLACK & WHITE

 絢子の両親(というか母親)の話。簡単に終わらせずに引っ張ったのは問題が非常に根深いということで正解。いつか長編で決着がつくんでしょうか。にしてもこの両親からあそこまで育った絢子は立派だと思います。惚れ直した。

  • ジョシコウセイ・クエス

 エメレンツィアは外国人キャラによくある「間違った日本知識を持っているキャラ」ではないのですが、その代わり学生的なローカル知識に疎く、本人も素直で騙されやすい、ということでこんな話が成り立ちます。話の内容というよりイラストで大爆笑。260ページではなくむしろカラー扉で。

 記憶喪失ネタ。これまであちこちで使われてきたネタということで特に新鮮味のあるオチではないですが、そこは激ピュア・ラブコメ、そのオチの破壊力が半端じゃありません。やっぱりこういう話がひとつはないと「護くん」らしくないですな。記憶をなくした絢子が護に冷たく当たって、みたいな展開はどうだろう……と思いましたが立ち直れないくらいのトラウマが残りそうなのでこっちが正解、ということで。


 当然のことながら長編に比べると総合的なパワーでは落ちますが、それとはまた違ういろんな切り口の話が読める嬉しさがあるのが短編集。前巻の引きと相俟って、長編次巻が楽しみで仕方ありません。