いーちゃんが哀川潤に根性たたき直される話

ダブルダウン勘繰郎 (講談社ノベルス)

ダブルダウン勘繰郎 (講談社ノベルス)

 諸事情あって読み返した。

 JDCシリーズのトリビュート作品、と言いつつ中身は完全に西尾維新。西尾作品が、とりわけ少年漫画的な展開が好きな人には合ってるんじゃなかろうか。むしろ本家JDCのファンが読んだら肩すかしを食らう。

 しかし逆島あやめの元名探偵とは思えないっぷりはどうしたものか。バレずに666人の探偵を殺した割に今回の計画はあまりに杜撰なような。西尾は天才を天才として描くことができない、というのはクビキリサイクルの時に感じたことだけども、この作品ではそのことにより本家JDCのもつある種の超越性が決定的に欠けてしまっている。要するに、作中の世界では数十億人があっさり殺されてしまったりするはずなのに、どうもそうは感じられない、ということ。方向性の違いと言ってしまえばそれまでなんだけども、やっぱりJDCというより純粋な西尾作品として読むのが正解な気がする。