ライトノベルの読者層問題

好きなら、言っちゃえ!! 告白しちゃえ!! [2005年12月]
 こちらにも関連した記事がありますが、ここでお二方に共通しているのは「ライトノベル読者の中心は10代」と思ってらっしゃるということです。別の角度から見れば、10代読者と20代以上の読者の間にライトノベルに対する明らかな意識の差があることを、ほかでもない20代以上の読者が認識しているということ。自分たちと見方、読み方、考え方が違う層がある(そして恐らくそちらのほうが規模的には大きい)というということを、すでに理解している。これは多分ネットで感想や書評を書いてる方は大抵感じてることなんじゃないかと思います。

 自分もそう思ってるひとりですが、大事なのはその認識をもった上で、10代読者の感性も忘れないようにすることだと思います。具体的には「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」はすごい、と思っても構わないけれど、同時に「フルメタル・パニック!」も楽しめる読者でいようね、ってことです。年とって「すごい!」と思うものの内容が変わるのは当然ですけど、そこで手のひらを返したように昔「すごい!」と思ってたものを「駄目だ」と言ってしまうのは流石にどうなんだ、という気がしますので。

 ちなみにこの辺のことは「本当はこのライトノベルがすごい! 2006」でもちょこっと触れてたりします。ので読め!(露骨に宣伝)

ネタバレについて

 関連してひとつすごい意見があったんで紹介。

 この人、飾られた記号―The Last Object (電撃文庫)三辺は祝祭的色彩―Thinkers in Three Tips (電撃文庫)の作者さんなんですが、ネタバレする際のマナー云々以前に、ネタバレ前提で語ることを完全に否定しちゃってます。曰く「単に、ネタバレありの感想をぶちまけたいから書いたというパタンでほぼすべて」であり「自分以外の誰にも還元されない」そうな。

 まあ一方的に感想を書き飛ばす人も中にはいるのかもしれませんが、少なくとも自分の場合ネタバレ感想を書くのはそうしないと語れないことがあるからです。ネタバレ前提の感想を提示した上で、他人とより深いレベルで意見をかわしたいからなわけで。ただそれは読んでない人にとっては当然好ましくない。だから一度「ネタバレあります」と断る必要があるわけです。中には一度表面的な感想を書いた上で、後日改めてネタバレ感想を書く人もいます。他人に紹介するための感想と、他人と語り合うための感想はまた別のものなわけですよ。

 この人の場合、後者のタイプの感想があるということが、そもそも認識の外にあるように思います。そこに考えが及んでいないのかあえて無視しているのかはわかりませんが。ただ、プロの作家が仮にも読者の感想を、他者の購買意欲を煽るための道具としてしか捉えず、あまつさえその読者を不審人物扱いするのはどうなんだ、という気がするんですが。