つーか普通はこういうのって黒魔術っていうんじゃないじゃろか

ネクラ少女は黒魔法で恋をする (MF文庫J)

ネクラ少女は黒魔法で恋をする (MF文庫J)

 第1回MF文庫Jライトノベル新人賞最後の1作。

 やたらと思わせぶりな描写がたびたび出てくるおかげで早いうちからオチが読め、しかもよくありがちなオチだったので最後までふーん、という感じで終了。前半の黒い心の声垂れ流し状態の文章を読んでたときは結構期待してたんけども。演劇部の面々も頑張って個性付けしようとはしてるもののやっぱりうまく使えてない。結局のところ黒魔法はおまけで基本は普通の青春小説、てな感じ。

 あと大河内のイラストには絶望した。どこがゴリラやねん。唯一好きなキャラだったのに、がっくり。



 さて、これで第1回MF文庫Jライトノベル新人賞受賞作がすべて出そろったわけで、ここらで一度すべての作品の評価を一文でまとめてみたいと思います。すでに2巻、3巻が出てる作品も多いですが、読んでないのも多いのでとりあえず1巻での評価をば。

 よくできている小説が面白い小説とは限りません。

 派手さが欲しい。

 勢いは買った。

 良くも悪くも読んだあと何も残らない。

 グリコ以外要らない。

 ネクラ少女は黒魔法がなくても恋ができましたよ、という話。

 エロい。

 オタクの恋愛観をぶっちゃけて描いた怪作。


 荒削りながら面白いなあ、と思ったのは「クリスマス上等。」。続刊をバレンタインとホワイトデーに合わせて出してくるバイタリティーも含めて今後が楽しみではあります。「ゴーレム×ガールズ」は色々な意味で毛色が違っていて読んでて苦笑い。「かのこん」はうん、やっぱりこういうのも出るのか、とある意味安心した1作。唯一の優秀賞「青葉くんとウチュウ・ジン」は小説的にどうのこうのよりもまず先にセンス的なものをどうにかするべきだと思いました。

 一応、うまいこと作品の傾向がばらけていて、色々な方面にチャレンジしていこう、という気概は見て取れます。その一方、レーベルを背負って立つ予感を感じさせるほどの作品がなかったのも事実。大賞は該当作なし、というのが志の高さを示しているのだろうとは思いますが、全体的にもうあと一歩、といった印象です。

 それにしても1回の開催で8作刊行って今の電撃並みですな。とりあえず第1回ということで数を出す方針だったのだろうと思いますが、今後質と量のバランスがどう変化していくのかが気になるところ。*1ただ、数を出すのはいいんですが、刊行順が上のリスト順などではなく全然バラバラで、私自身調べるまでどれが優秀賞でどれが佳作なのか、といったことが全然わかりませんでした。売り出し方には再考の余地ありかと。

*1:とりあえず、現在開催中の第2回は第2次予備審査終了時点で佳作はわずかひとつと激減している模様。