本で人を殴るのはよくないと思います
その本、持ち出しを禁ず―戒書封殺記 (富士見ファンタジア文庫)
- 作者: 十月ユウ,藤丘ようこ
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2005/11
- メディア: 文庫
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (29件) を見る
図書館のルールを破った人間を容赦なく叩きのめすために校内で恐れられてる、という主人公の設定はなかなかに面白い。話の流れは割とオーソドックスなファンタジーだが、ミステリテイストも織り交ぜたりしてそれなりに頑張ってると思った。綴も睦美も割と平然と異界司書の存在を受け容れてたりとか、綴が実はほとんど話に絡んでなかったりするところとか、気になるところがないでもないけどまあ、些細なところか。読破、綴、睦美の三角関係も含めて今後の展開に期待。個人的には今後どんな戒書が出てくるのかが楽しみ(今回は実質「召喚の道具」でしかなかったので)。
ただ文体には一考の余地あり。どうやら徹底的に三人称の「神の視点」にこだわってるらしいのだけど、個人的には非常に違和感があった。具体的には素直に「〜と思った」と書けばいいようなところまで「〜と思っただろう」と書いたり、文中で瞬間的に他者の描写が挿入されたりするところとか。自覚的なのか無自覚なのか判断しにくいが、感情移入しづらいのでなんとか修正していって欲しいところ。