ライトノベルは「こどものよみもの」である
前回のエントリで突っ込みがあった件に関して少々補足。
コメント欄(774さんへのレス)でも書いたとおり、上記エントリ本文における「こどものよみもの」とは、世間の認識および消費の傾向を指して書いたものであり、内容から鑑みてのものではありません。しかし私が、内容*1的にも基本的には「こどものよみもの」であると考えているのもまた事実です。
その理由は単純で、ライトノベルというのは基本的に子どもが読んで楽しめるような作りをしているからです。平易な文体、シンプルなストーリー、キャラクター性を前面に押し出した登場人物、アニメ調のイラスト、文庫主体であることにより低価格に抑えられたパッケージ。これらの要素はいずれも、中高生くらいの子ども世代が手に取りやすい本作りに大きく関わってくるものです。そうした枠組みを基本においた「ライトノベル」という存在を表現するには、「こどものよみもの」という呼び方が適している、と私は判断しました。
ただ、誤解がないように言っておきたいのは、私はライトノベルをことさら貶める意図で「こどものよみもの」という表現を用いているのではない、ということです。「こどものよみもの」には「こどものよみもの」なりのやり方が、「おとなのよみもの」には「おとなのよみもの」なりのやり方があり、どちらがより優れているか、などと決めることは誰にもできません。*2むしろ「こどものよみもの」に特化し、そのための本作りに努め、そしてこれまで成功を収めてきたライトノベルという存在は、「おとなのよみもの」を評価するのとはまた異なる観点から高く評価されるべきでしょう。
その意味で私は、ライトノベルは「優れたもの」であるとも「劣ったもの」であるとも思っていません。ただそこにある現象として「ライトノベル」とはどういうものかを自分なりに考えてみた、その結果思いついたのが「こどものよみもの」という表現である、とそういうことです。
あとはまあ、単純に売れてる作品は子どもがよろこんで読みそうなものが多い、とか。*3
もちろん多くの方がご存じの通り、最近は上記の条件に当てはまらないにもかかわらず「ライトノベル」とされる作品も増えてきました。ただ、そうした作品は全体の総量を考えるとまだまだ少なく、上記の前提を覆すには至っていない、というのが私の見解です。今後そうした作品の比率が上がっていけば、当然示すべき作品傾向は変化するでしょうし、「ライトノベル」とされる作品群の性質も変わってくることでしょう。